この国は
世界で唯一
侍を生み出した国である
西洋の島国で
騎士が生まれた国はあるが
侍精神と
騎士道精神とは全く格が違う
侍精神の方が
遙かに上である
それ以外の国では
歴史上
民俗学上
特出すべき男たちは存在しない
侍たちは
やがて来る
戦いの日まで
日々鍛錬し
己を限界まで追い込み
言い訳など一切せず
じっと耐え抜く
誇りある男たちである
そして
侍とは
主君の為に
死することにある
生命の未練を捨て去り
家族への未練を捨て去り
一人の人間の尊厳として
生まれてから当然持っている
全ての未練を捨て去り
恐怖を克服し
死を覚悟し
肚を括る
悲しき男たちである
悲しきとは
安易な哀れみで言っている
侍に対して
失礼な表現ではなく
運命的にどうしても
やるせない
悲しみをはらんでいるという
事実を表現した意味である
我々はそんな
誇り高き侍を生み出した
国に生まれている
SAMURAI・JAPANという
正式名称を考えた人間は
深くは考えていないとは思うが
この正式名称の裏には
物質的には豊かになったが
魂がなくなってしまったこの国に
もう一度自分の魂の事を
真摯に考えるべきではないかという
問題提起を込めたい
テレビの前で観ている
この国の未来を創っていく
若きSAMURAIたちは
いつの日かこの提起に対する応えを
創らなければならない宿命を
一人一人が課せられている
そしてこの問題提起を
死に物狂いで寡黙に実戦しているのが
現代の侍こそ
SAMURAI・JAPANのSAMURAIたちである
彼らが戦う背中からは
そんな哀愁も感じらる
現代のSAMURAIたちは
日本のため
主君・原辰徳監督のため
守るべき家族のため
自らの誇りのため
文字通り身をぼろぼろにしながら
死の物狂いで戦っている
その寡黙な背中にこそ
我々日本人は
言い知れぬ感動を感じる
そしてSAMURAIは
思うように働けない仲間を
かばうために戦う
それこそが
真のSAMURAIである
働けない仲間とは
イチローのことである
しかしイチローは
一般的なアベレージでは
計ることはできない
いま彼は数字に表れない
自分なりの感覚を掴もうと
死の物狂いで己と戦っている最中である
ボテボテのゴロで一塁で刺されても
そのゴロで自分なりの感覚を
取り戻すことができるのが彼だ
彼は今までそうやって
絶体絶命の危機を何度も脱出し
輝かしい伝説を作ってきた
真のSAMURAIである
そして今までの激戦で
働けない仲間のために
一番身を粉にして
戦っているSAMURAIは
文句なしで
東京ヤクルトスワローズの
青木宣親選手である
彼こそSAMURAI・MVPである
絶好のチャンスを
ことごとく潰してきた
一番イチローの後を
3番青木が死の物狂いで救い
執念で蘇らせ
死にかけていた自陣の流れを
もう一度復活させ続けているのが
若武者・青木宣親である
彼ほど己の功労のためではなく
無欲で戦っているSAMURAIはいない
完全に自我を捨て
完全に欲を捨て
自陣のためだけに心底戦っているから
これだけの素晴らしい結果を
残しているのである
そんな青木のために
戦いの神様も
青木のバットを
青木の足を
青木の背中を
押してくれているのである
無理目の走塁でも果敢に責め続け
1塁から2塁を通過した後の
トップスピードに乗った時の
青木は誰も止めることはできない
それはまるで
弓矢から解き放たれた
一番矢のように
彗星のごとく
相手陣営の3塁に突き刺さっていくのである
彼は誰よりも
このWBCに賭けていた
去年レギラーシーズンが終わった
なんと次の日に
早速ロサンゼルスに飛び
ドジャース・スタジアムの試合を観戦し
自分の頭の中で
来るべき戦いのイメージを
黙々と創り始めていたのである
そんな彼は
年間200安打以上を打ち
首位打者をもぎ取り
前回のWBCでも
北京五輪でも活躍した
堂々と肚が据わった
SAMURAIなのである
もうすでに
大リーグの全球団の
スカウトの目にも留まっているだろう
だからいつの日か
海を渡って暴れまくって欲しい
日本のSAMURAIの
誇りに賭けて
己の名誉に賭けて